最優秀賞は・・・
時間が止まった感じがした。
2月19日に合唱コンクールが行われた。それぞれのクラスが一生懸命練習した成果 を、立派なホールで発表する。3年生にとっては、中学校生活最後の行事。彼らはこの中学校で学んだ3年間の集大成として最高学年としてのプライドを持って 発表する。1年生は初めての合唱コン。大勢の観客の前で発表することの難しさを経験する。2年生は去年の反省を踏まえ、後輩の見本になるように、そして先 輩を追い越そうという意気込みで成長した姿を見せる。それぞれの学年が特別な思いを胸に抱き発表する日が、合唱コンクールである。
3年1組は、去年、優秀賞を取ったことで、心に隙が生まれ、クラス全体での練習が上手く行かなくなった。生徒は焦り始め、それぞれが相手に要求することばかり。そして、クラスのバランスが今にも壊れそうな雰囲気となっていった。
しかし、あることをきっかけに彼らの思いはまとまってくる。それは、周りの仲間同士が自分たちの歌を見せ合うこと、アドバイスを言い合うことが刺激となり彼らを良い方向へと導いた。そして、彼らの今にも壊れそうなバランスがみるみるうちに団結しまとまり始めた。
そして本番当日。彼らは3年間の中学生活を振り返りながら、周囲の人たちに対する感謝の気持ちをもってステージ上で堂々と発表することができた。中学3年生全員が同じ思いだった。「ありがとう」という感謝の心と共に歌っていた。感動した。
「最優秀賞は・・・」
どうにか彼らに最優秀賞を取らせてあげたい。そんな思い出いっぱいだった。
「3年1組!」
思わず客席の一番後で声をあげてしまった。
今回の合唱コンクールを通して学んだことを決して忘れないでいてほしい。周りの人に対する感謝の気持ちやコミュニケーションの大切さ。そして、ひ とつの目標にむかって全員が団結し突き進むことの美しさを。そして、教員生活初めての最優秀賞を経験させてくれた生徒たちに感謝の気持ちを述べたい。「あ りがとう」
(3年1組担任 竹村 慎吾)