国際コースの留学も始まって5か月あまり。イギリス組の6か月生は今月2月25日には帰ってきます。
そんな中で、あるイギリス組10か月生からお便りが来ましたのでご紹介します。
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「I don’t think you can pass the exam with your English. あなたの英語ではテストをパスできないと思うよ。」
社会学の先生からのそんな一言から始まった私の10ヶ月留学。これまでの約5ヶ月間は私にとって、挫折・失敗の繰り返しだった。成功したことなんて多分片 手で数えられるくらいしかないと思う。カレッジへの初登校日からいきなり始まった授業では、意味のわからない用語、そして本来なら分かるはずの英語が飛び 交っていて、私はそこで本当に混乱した。
クラスメイトも、先生も、日本のようにゆっくり質問に答えてはくれない。その中で毎日先生の下に通っていた私に、先生は上記の言葉を容赦なくぶつ けた。ショック以外の何物でもなかった。悔しくて、でも先生は私を「留学生」ではなく、「自分の一生徒」として見てくれていた。多分これはほかのどこのカ レッジでも味わえなかった経験だと思う。ほかに学園生は一人。彼女は全く別の校舎で別のコースを取っている。頼るに頼れない、なぜなら彼女にも彼女の課題 や悩みがあるから。しかし、クラスメイトや先生に助けを求めないと置いていかれる。毎日必死で、予習と復習、そして質問を繰り返した。こんなに勉強したの は多分中学3年以来だったと思う。それをさせたのは、先生の言葉と同じイギリスで頑張っている、そしてカナダで私よりもはるかに辛い場所で努力を重ねる友 達だ。
私はここに来て、「本当の留学」の意味を知った。語学留学ではなく、現地で、現地の生徒・先生と、現地の言葉で一つの教科についての教養を深め、 現地のテストを受ける留学。現地生との言葉の壁も毎日痛いほど感じる。先日受けたテストでも、日本語~英語の紙辞書の持ち込みは許可されたが、それに対す る追加の時間はもらえない。結局私は一切その辞書を使わなかった。辞書の持ち込みの許可をもらうのも、申請を自分自身の力でしなければいけなかった。
日本の先生方は、彼ら彼女ら自身の時間を割いてでも、私たちのサポートをしてくれるだろう。でも、こちらのチューターはそんなことは一切しない。 「自己責任」が問われる。遅刻をしたからと言って、日本でのように根掘り葉掘り理由を聞かれたり、8時登校させられたり、そのような厳しい縛りはない。し かし、出席率・理解度が著しく低いなどの負の要因が重なれば、テストを受けさせてもらえなかったり、転科を求められたりする。私のクラスでも数名、イギリ ス人生徒がそのような状況に陥った。日本のように甘くはない。こちらに来た以上、私たちは一人の「大人」として見られる。そこが日本とイギリスの一つ大き な違いであるように思う。
学園国際生はみんな度合いは違えど、いくらかの行動力は持ち合わせていると私は思う。最低6ヶ月の海外留学を含んだカリキュラムで、それを中心に授業が 進んでいくコースに飛び込むのだから、その時点で行動力は一般の高校生よりもあるように思う。頑張ることの大切さ、結果は必ず努力した分だけあらわれると いうこと、縦のつながりの力強さや絆の大切さ。一年次から、意見をぶつけあっては協力し、みんなで頑張ってきた。みんなが同じように頑張っているから、自 分だって頑張らなければ!そんな義務意識もあったのかもしれない。しかし、私はみんながいなければここまで来ることはできなかった。途中で挫折し、そのま ま立ち上がれなかったかもしれない。
厳しい留学の審査、VISAの手続き、常にタイトなスケジュール。資格取得、定期考査の点数や成績を含む留学期間とカレッジの決定。楽しいことば かりだったとはどうしても言えない。高校生ということを忘れ、がむしゃらに頑張らなければいけなかったことの方が多かったと思う。しかし、その厳しい生活 の中で、イギリスで家族や馴染みの友達、先生と離れて長期間暮らす上で最低限必要、もしくはそれ以上の精神力と集中力、そして学力を身につけることができ たと思う。学校滞在時間が12時間を超える時もあった。
そんな生活の中で一日の大半を友達や先生と過ごし、絆を深めることもできた。親や家族には感謝してもしきれない。日本の親はもちろん、もうひとつ の家族であるイギリスのホームステイ先の家族にもだ。金銭面はもちろんのこと、夜も遅い中私と話してくれたり、大量の日本食を含んだ大量の荷物を送ってく れる。精神的に本当に強く支えてくれている。いつも私の進む道を応援してくれ、時には適切な大人の意見をくれる。日本で普通の高校生活を送っていたなら、 きっとこんなにも家族や友達、先生方の大切さを知ることはなかったと思う。毎日しんどい生活の中で、学ぶことがたくさんある。その全てを吸収し、夢に一歩 でも近づいて、後悔を残さずに、日本へ帰ることを目標に、あと5ヶ月間精一杯努力を重ねて行きたいと思う。
私を支えてくれるすべての方に、本当に感謝しています。